一般社団法人グリーフケア希望
‐AYA家族支援センター
代表理事 関谷共美
-プロフィール-
公認心理師/精神保健福祉士/牧師 M.Th.
大阪あべのカウンセリングルーム代表
専門:認知療法&認知行動療法/ロゴセラピー
グリーフケア/スピリチュアルケア
キリスト教に基づくカウンセリング
-信 条-
神のなさることは
すべて時にかなって美しい
-コヘレトの言葉 3:11 -
この最も小さい者の一人にしたのは
わたしにしてくれたことなのである
-マタイによる福音書 25:40 -
1999年、私は、生まれて25時間40分の赤ちゃん(次男、晴河)を失いました。そのとき3歳だった長男、大陸は、私の唯一の希望でした。悲しみを共にした同士であり一番の理解者でした。私の人生を楽しく豊かに彩り、迷い悩む日には道しるべのような存在でした。
その大陸が、28歳という若さで壮絶な闘病の末に旅立ちました。
「この先、幸せを感じる瞬間も心から笑える日も二度とこないんだ」と思いました。 底なしの暗闇に落ちてゆくような絶望感。
セカンドオピニオンの医師や、後に転院した病院の医師たちから「もう少し早ければ」と何度も言われました。
「もっと早く専門の病院に連れて行っていたら」。「もっとちゃんと調べていれば」。「もっと早くセカンドオピニオンを受けていれば」。「自覚症状を聞いたときにもっと真剣に聴いてあげていたら」。
何度も専門の医療機関につながるチャンスはあったのに、すべて見過ごしてしまったこと。目の前で息子が泣き、痛がり、苦しみ、弱っていくのに何もできなかったこと。(ハンカチが触れただけでも飛び上がるような神経痛の足がベッドから落ちて)おかあさん助けてと何度も呼んでいたのに眠ってしまって気づけなかったこと。私だけが頼りだったのに・・・。私の無知のために息子から未来を奪ってしまった・・・。
今も私は、一日一日を生きて、生き続けることに精一杯です。絶望におそわれて、時に、そこにいることがしんどいと感じます。
大学生の三男は、深く悲しむ母の姿を前に、自分が母を支える存在になりたいと願い、兄を失くした自身の悲しみを隠し、大学を休学し私に寄り添ってくれました。「おかあさんがひとりぼっちって感じてる。僕のせいや」と自分を責めました。「たいちゃんはおかあさんの未来やってん、もうおかあさんには未来がないねん」と嘆く私に、三男は泣きながら「僕もおかあさんの未来になりたい」と言いました。
この世界には、今闘病しているご家族、治療を断念せざるを得ず、絶望し、未来がないと感じているご家族がいます。そして、悲しみを隠して親を支え、疲れ果て、自分の存在意味が失われていく「きょうだい」たちがいます。
この過酷な人生の闘いを、一人では続けていけない。だからこそ共に歩み、共に闘い、支え合える仲間、語り合える場所が必要だと強く感じています。
大陸は、「若いから」、「めずらしいから」という理由で進行の早い希少がんの診断が遅れました。適正な医療を受けることができず、根治の望みが断たれ、最期まで苦しみました。喜びも、悲しみも含めて誰よりも人生を楽しんでいた息子の口から「安楽死」という言葉が出るほどの痛みでした。死の恐怖と痛みに泣きながら「おかあさん、僕みたいな思いをする人なくしてな」と言いました。
それでも「まだがんばるで」、「行けるとこまで行くで」、「希望をもっていたいねん」と言いました。壮絶な痛みと苦しみの中、「ずっと一緒にいてな」、「3人ずっと一緒やで」と、いつも家族といることを心から願いました。どんな時も家族が「ずっと一緒」にいてくれる。そのことが、死を前にして唯一の安らぎでした。
「希望」は、生き続けたかった家族が私たちに残してくれた尊い命の灯です。HOPE-AYAは、家族の希望を支え、未来へとつないでいく存在でありたいと願っています。
法人名に込めた「希望」の意味
法人名に込めた「希望」という言葉は、単なる楽観や明るい未来への期待ではありません。それは、絶望の闇の中にみえる瞬く灯のようなものです。大切にしなければ消えてしまいます。
絶望を感じるその瞬間に、共に悲しむ仲間がいることを知ってほしい。一人ひとりの小さな灯を、共にあたため未来へとつないでいきたい。
HOPE-AYAは、AYA世代のがん患者と家族、きょうだいたちが、新たな希望を見出す旅路を共に歩む存在でありたいと願っています。それは、過酷な状況の中で人生と闘い続ける勇気を与え合うことでもあります。
深い悲しみの中にあっても、共に歩むことで見出せる希望の灯があると信じて活動してまいります。
HOPE-AYA 代表理事 関谷 共美
* 「希望の灯を未来へ‐命の記憶 Living Proof」
愛する家族の名前とLiving Proof (生きた証) を刻むご遺族のページです。家族とのかけがえのない時間(Living Proof)を記録し、大切な命の記憶を未来へとつなぎます。生きたかった家族のことや遺された家族一人ひとりの気持ちを伝えていくことで、医療や社会的課題について考えることや生かされていることの大切さを多くの人に伝えていければと考えています。詳しくはこちらから >
一般社団法人グリーフケア希望‐AYA家族支援センター(HOPE-AYA)は、AYA世代のがん患者と家族が直面する現実的な課題に対応するために設立されました。
詳細は「設立背景と目的」をご覧ください。
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