‐見過ごされがちな悲しみ‐
AYA世代の家族を亡くしたきょうだいの悲嘆は、しばしば見過ごされがちです。
とくに母親の深い悲しみを前に、きょうだいは自らの悲しみを後回しにし、母親を支える役割を担おうとします。その結果、大切な家族を亡くしたという自分自身の悲嘆に向き合う時間や場をもてず、エネルギーを注ぎ尽くし疲れ果ててしまうことがあります。
すべてのきょうだいが、必ずしも特別な支援を必要とするわけではありません。若い年齢層であるがゆえに、本来、友人たちとの時間や学校、大学、職場での日常活動を通じて、自然な悲嘆のプロセスを歩むことができます。その場合、遷延性悲嘆(長期化・複雑化した悲嘆)となる可能性は低くなります。
しかし、母親の悲嘆が非常に強く長引き、病的になる場合や、安心できる環境におかれていない場合には、きょうだい自身の悲嘆も深刻化することがあります。こうした状況では、本人だけでなく家族や環境にもアプローチしていく実践的な支援が必要となります。
また、AYA世代のがんでは、治療の過程やサバイバーシップについて支援が十分ではありません。
自分自身の環境も大きく変化する中で、多くの若いきょうだいたちは、日々親の負担を感じて自分の無力に苦しみます。そして、できうる限り自分の時間を、親を手伝うことに費やそうとします。
HOPE-AYAでは、きょうだいをとりまく環境にも注意を向けます。多様な社会資源と連携を取りながら必要なリソースを柔軟に活用することで、難しい環境にあるきょうだいたちを支えていきます。
きょうだいたちが、それぞれ固有の悲嘆のプロセスを歩むためには、以下のような支援が必要な場合があります。
1.年齢や状況に応じたグリーフケア
幼少期の子どもには、絵本や遊びを通じて感情を表現できる場所。思春期には、発達の段階に応じた感情表現や自己理解を深めるワーク。青年~は、認知行動療法に基づくカウンセリングなど、それぞれの年齢や発達段階に応じたアプローチが求められます。
2.個人カウンセリング
うつ病や遷延性悲嘆のリスクがあると考えられる場合、代表理事による個別のカウンセリングをご案内します。
3.悲しみを共有できる場
同じ立場のきょうだいたちが集まり、お互いの経験や感情を共有できる場が必要な場合があります。年齢層ごとにグループを分けたり、年長者が若年者の話し相手になるような仕組みを取り入れ、それぞれが安心して参加できる環境を整えます。
* 「希望の灯を未来へ‐命の記憶 Living Proof」
愛する家族の名前とLiving Proof (生きた証) を刻むご遺族のページです。家族とのかけがえのない時間(Living Proof)を記録し、大切な命の記憶を未来へとつなぎます。生きたかった家族のことや遺された家族一人ひとりの気持ちを伝えていくことで、医療や社会的課題について考えることや生かされていることの大切さを多くの人に伝えていければと考えています。詳しくはこちらから >
4.ソーシャルワーク的支援
家庭環境や社会的背景によっては、学校や地域社会との連携が重要になります。
5.情報提供と教育
自身の喪失による悲嘆について理解を深めることが重要です。
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