‐複雑な課題と包括的支援‐
AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとった言葉で、一般的に15歳から39歳までの若年層を指します。
この時期は、身体的・精神的な成長、教育、就職、結婚、出産など重要なライフイベントが集中する時期です。自立や自己実現、将来設計など多くの課題に直面する一方、将来への夢を育む大切な時期でもあります。
日本のがん治療の現場では、「AYA世代」という特有のカテゴリーが注目され始めています。厚生労働省や一部の基幹病院では、AYA世代に特化したサポートチームや取り組みが進められています。
一方で、その恩恵を受けられる患者や家族は限られています。
多くの患者や家族は、情報や支援にアクセスするまでにいくつもの壁に直面し、適切なサポートにたどり着けない現実があります。地域格差もあります。この年代特有のニーズに応える包括的な支援体制の整備が急務です。
HOPE-AYAではこれらの現状を踏まえ、AYA世代のがん患者と家族が、誰でも、いつでも、どこにいても必要な支援にアクセスできる社会の実現を目指しています。
〔1〕ライフステージごとの多様な課題
〔2〕医療システムと専門職の対応
〔3〕心理社会的支援の充実
〔4〕個別性への配慮
〔5〕家族支援と遺族ケア
〔6〕 経済的負担と公的支援
〔7〕情報提供と意思決定支援
〔8〕研究と治療法開発
〔9〕エンド・オブ・ライフケアの質
・AYA世代のがん患者のご家族は、非常に複雑で深い悲しみを経験します。若い命が脅かされる現実に直面し、将来の夢や希望が断ち切られる痛みは計り知れません。
・以下の内容は、「がん」だけでなく、自死や事故などでAYA世代の家族を突然失ったご家族にも当てはまります。そのため、「AYA家族の会」/「きぼうの会」では、死因を問わずAYA世代の家族を失くした方どなたでもご参加いただけます。
〔1〕想定外の喪失による深い悲嘆
〔2〕家族システムへの影響
〔3〕社会的孤立とサポート不足
〔4〕若い命の喪失に伴う意味づけの困難
〔5〕長期的な影響と精神的健康リスク
〔6〕AYA世代特有の課題への理解
〔7〕グリーフケアと社会資源との連携
〔8〕個人カウンセリング
これらの課題に対応するためには、AYA世代の多様性を認識し、個別のニーズに応じた柔軟な支援体制の構築が求められます。また、専門職の理解と意識改革、家族への包括的かつ長期的な支援体制の整備が必要です。
HOPE-AYAは、これらの課題に真摯に向き合い、一つ一つ解決に向けて努力し、実現してまいります。
HOPE-AYAは、大切な子どもを失った経験を基に、患者と家族が直面する課題に対して以下のような支援活動を行っています。
〔1〕個別性を重視したサポート
悲嘆は一人ひとり異なり、家族内でもその形はさまざまです。HOPE-AYAでは、患者や家族それぞれの状況や希望に応じた柔軟な支援を行います。特にエンド・オブ・ライフケアでは、ビフレンダーが、患者と家族の希望に謙虚に耳を傾け、丁寧なケアを心がけます。
〔2〕医療従事者との連携
患者や家族の声を医療現場に届けるため、研修や講演を通じて相互理解を促進します。スピリチュアルペインへの援助的コミュニケーションについて重点的に取り組みます。
〔3〕家族全体への包括的支援
患者だけでなく家族全体を対象とした支援を展開します。看取りの過程や死別後のグリーフケアにも長期的視点で取り組みます。
〔4〕長期的な遺族ケア
家族会の運営や個別カウンセリングなど多様なアプローチで、長期的・継続的なグリーフケアを実現します。
〔5〕情報提供と意思決定支援
緩和ケアや看取りに関する情報だけでなく、最新の医療情報や社会資源についても分かりやすく提供し、患者と家族が納得して意思決定できるよう支援します。
〔6〕経済的負担への対応
必要な申請や助成金制度の紹介など、経済面での不安軽減に向けた取り組みを行います。
*将来的には、ご家族への経済支援を行うことができるよう体制を整備します。
〔7〕研究支援と啓発活動
「関谷大陸基金」(希少がん研究支援基金)を通じて国内の医療機関や研究施設への研究費助成を行います。また、AYA世代に特化した緩和ケアやグリーフケアに関する研究を支援します。
私たちは、一人ひとりの患者に固有の人生があることを常に心に留めます。その大切な命と向き合い、苦しみ、それでもなお希望をもち続けた家族の思いや、愛する人を失った後の深い悲しみと絶望、それでも前に進もうとする家族の勇気を社会に伝えていきます。
私たちの活動が、AYA世代のがん患者とご家族にとっての希望の灯となり、社会全体にあたたかい変化をもたらす一助となることを信じて、日々努力を重ねてまいります。
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